ユニバーサルシートの必要性とは？障害児のトイレ事情も考慮したバリアフリートイレへ

2024-08-21トイレ

バリアフリートイレに付いている大型のベッド『ユニバーサルシート』をご存じでしょうか。多目的シートや介助用ベッドと呼ばれることもあります。

ユニバーサルシートは介助の必要な高齢者や障害を持つ方が使うおむつ交換台です。
おむつ交換だけでなく、着替えや介助、自己導尿、荷物置きとして幅広くご利用いただけます。

21年改正建築設計標準では『大型ベッド（ユニバーサルシート）』が「望ましい整備」から「標準的な整備内容」に引き上げられました。
今回はパブリックトイレの設計で避けては通れないユニバーサルシートについてお話しします。

おむつ交換のための設備

・おむつ交換台、着替え台

トイレで見かける写真のようなおむつ交換台。バリアフリートイレだけでなく一般トイレの共用部や個室内など設置数も拡大し、男性トイレでも目にすることが増えてきました。赤ちゃんのおむつ交換には欠かせない設備です。

おむつ交換台はメーカーや製品にもよりますが使用対象月齢は2才～2才半が上限です。1才頃になってくるとたっちでのおむつ交換となり、主に着替え台を使用します。またトイレトレーニングもすすむため、おむつが外れる子もでてきます。

2才半ぐらいまでは寝かせて　　　　　　1才頃を過ぎると立って交換

おむつ交換台の使用対象月齢でも、自分で立つことができるようになる生後9ヵ月以降はパンツタイプの紙おむつを使用する割合が高くなり着替え台の需要が高まります。

・ユニバーサルシート

ユニバーサルシートはバリアフリートイレに設置され、高齢者や障害のある方のおむつ交換で使用されます。
ベルトは大人が使っても窮屈でないサイズ感のため、赤ちゃんの小さな体をホールドすることが難しいです。おむつ交換台の対象である赤ちゃんは事故防止のためおむつ交換台の使用を推奨します。

ユニバーサルシートはだれが使うのか

外出先でおむつ交換が必要となる方はお子さまだけではありません。
大人用紙おむつの生産量は年々増加しており、2040年にはおむつ利用者の割合は7％になると試算されています。大人がおむつ交換できるユニバーサルシートは今後ますます求められていくでしょう。

大人用紙おむつ生産量の推移

経済産業省生産動態統計より

紙オムツ使用人口割合

国土交通省　紙オムツ使用状況の推計より

そして大人だけでなくおむつ交換台の対象月齢以上になった子どもの中にもおむつが必要な子がいます。先ほど1才半以降は着替え台を使うと言いましたが、着替え台でおむつ交換をするにはたっちができなければいけません。

自力でたっちができない障がいを持った子は着替え台の使用ができず、おむつ交換ができる場所を確保するのに苦労しています。
身体が大きくなった子は高さのあるおむつ交換台に寝かせるのも一苦労。小学生にもなると寝かせる幅も足りません。使用対象月齢を超えているので安全面も心配です。中には持参したマットを床に敷いて着替えをするなど、トイレでの作業が大きなストレスになっているのが現状です。

このような子供たちに求められているのが『ユニバーサルシート』なのです。